How to Gospel
ゴスペルの歴史と特徴
●「ゴスペル」音楽が生まれた歴史●
ゴスペルは「ブラック・ゴスペル」黒人霊歌(Negro Spirituals)から生まれました。
約380年ほど前(日本では江戸時代初期)に、多くの子どもも大人の黒人たちも、奴隷制度によって、アフリカ大陸でヨーロッパ・アメリカの白人達によって買取られ、新大陸・アメリカに手足をくさりに繋がれて連れて行かれました。主に、白人の経営する農場などに売られた彼らは自由も無く、家畜同然の扱いで、重労働をさせられました。人間として扱われず、苦難を味わいました。家もなく、持ち物もなく、人としての自由もありませんでした。彼らは母国語を話すことも禁止され、ますます、自由が奪われ喜びが奪われました。
しかし、やがて、奴隷にもキリスト教会の集会への参加がゆるされ、そこで聖書の話(福音=ゴスペル)を聞くことが出来るようになったのです。
奴隷であった彼らは、現実の世界で、奴隷から解放されたいと願っていました。自由になるために危険を犯して、河を渡り、カナダかメキシコに逃れるか、死んであの世に行くかのどちらかが、自由になる道だと考えられていました。
また、心の中の世界でも、解放されたいと願うようになりました。
それは自分の心の中にある、自分勝手、人を憎み世の中を呪う、争うような「罪」という問題でした。
そしてその「罪の奴隷」となっている自分を支配するサタン(=悪魔)からの解放を求め、彼らはイエス・キリストに出会って、解放を体験したのです。
彼らは、奴隷としてアメリカの各地で働かされている間も、心から聖書に書いてあるイエス・キリストの約束と希望を、「歌」にして歌いました。
●Good Newsという意味のゴスペル●
聖書には、全ての人は神が造られ、神に愛され尊い存在だということが彼らの希望でした。この世の中には沢山の苦しみがあるが、それを乗り越えた先には、天国への道、永遠のいのちと希望があると信じました。だから、こんな最悪な状況の中でもイエス・キリストへの信仰を強めてゆきました。
意地悪されても、むちで叩かれても、黒人奴隷たちは自分達の信仰と人生への希望を、独自の音楽・歌で表現したのです。
●「ゴスペルソング」の特徴●
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歌詞には聖書の内容がストレートに書かれている。
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テーマが、イエス・キリストによって与えられる喜び、希望、自由、恵み、感謝、救い等。
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指揮者と合唱隊に強い絆がある。
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曲と歌詞を暗記して歌う。(基本的に、奏楽者以外は楽譜を見ない)
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力強いソロ独唱がある。
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リズムにあわせ手拍子をうったり、体をゆすったりする。
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ボーカルにTrills & Slides (ブルースノート)がある。
●「ゴスペルソング」の音楽的特徴●
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強いシンコペーションがある。(リズム)
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三つのパートのハーモニー(ソプラノ、アルト、テノール)
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呼びかけと応答、あるいは、エコー(コール&レスポンス)という歌い方。